なぜ日本で就職!?ドイツの大学を出て日系企業に入社してみた

日本企業に就職した話

このブログを書くキッカケになったお話。全10話のシリーズ記事です。

海外経験豊かなハーフがゴリゴリの日系企業に就職してみた。

まずは第1話からどうぞ!

ドイツの大学を卒業した後の就職先は日本 or ドイツ?


ドイツの大学を無事卒業して、グローバルな社会人を目指すコダモン。

学生の時にはたくさん回り道もしたけれど、そのおかげで語学のスキルはバッチリ身についた。

ドイツ以外にも中国に通算2年間滞在して、4か国語を話せるハーフの出来上がり。


18歳で海外に進出してからは異文化コミュニケーションが日常茶飯事だったので、物事の考え方とか思考が柔軟になった。なんとなく『グローバル人材』になれた気もする。

日本語とドイツ語が母国語で、英語と中国語が話せる。

コダモン

もう怖いものなし?


 …と調子をこいたは良いものの、次に何をすればいいのかわからない。

楽しい学生生活はもう終わりです。

大学を卒業した今、『就職活動』をするべきだと頭では理解しているけど、なんとなく二の足を踏んでしまう。

ドイツの大学で学位をゲットした時点では、もちろんまだドイツ在住。

ドイツから就職活動をする日本人(ハーフ)は、どうやらあまり前例がないらしい…。

そんなドイツでは、日本のようにご丁寧にエントリープログラムとか就活スケジュールは組まれていない。就活解禁日なんか無いし、企業説明会もほぼない。

ドイツには新卒一括採用のシステムがありません! 卒業のタイミングも人それぞれで卒業式などもなく、大学を出たら一律キャリア採用となるのです。


この時のコダモンは、就職活動が億劫(おっくう)ではあったのだけど、そんな事よりもまずどこの国で働くべきか?というちょっと贅沢な悩みを抱えていました。  

日本の高校を卒業して、単身ドイツに渡ってからずーっと海外で生活をしていたから、自分の思考回路は『半分外国人』。そもそもハーフだけど。


要するに、別に日本へ帰らなくても良い! と思っている自分がいるわけです。


海外で、いわゆる外資系企業で現地採用されるのも全然アリ。せっかくドイツにいるんだし、海外生活で築いたコネが無いわけでもないし。

海外で就職するべきか、それとも日本に帰国して就職するべきか…?


日本のサラリーマンになる事への「ためらい」


そうは言っても、就職する国は実質2択です。ドイツか日本。ドイツと日本のハーフなわけだし、両方の国の言葉を話せるし。

やっぱりドイツ系もしくは日系企業に就職するのがベストだろう…。

日本とドイツのどちらの国も捨てがたいけれど、『就職』という事を冷静に考えれば、その違いは月とスッポンです。

ドイツには年功序列が無いため組織の上下関係がフラットです。職場では『個』の働き方が尊重され、チームワーク以上に社員1人1人のスキルが問われます。


日本は何かと年功序列だし、「上司の命令は絶対!」「上司より先に帰らない!」みたいな風潮がある。『ストレス大国』のヤバい事情はドイツでも有名です。

日本人は集団行動を良しとするし、「海外に慣れた人は日本企業で耐えられない」なんていうコワイ話も聞きます。

コダモン

ガクガクブルブル…


そう考えると、『ドイツ一択』な気がする。

もう一度冷静に考えてみよう。

もし仮にドイツを去る場合は、自由気ままな日常生活からおさらばするということ。 

そして、日本へ帰国するということは、ルールとかマナーでガチガチの社会に戻って『年功序列』とか『集団行動』に慣れる必要があるということ。

職場の人間関係とか面倒くさいだろうし、残業も多いらしいし。

コダモン

残業はイヤ


それでも、日本で就職することのメリットとしては長期雇用を見越してじっくり時間をかけて教育してもらえるという事がある。らしい。

こう考えると、日本で就職することも良さげに見える。

日本に帰って就職すれば、世界で1番美味しい日本食をたらふく食べられるし。(これ大事) 

日常生活だけを考えれば、日本もドイツも一長一短。どちらも素晴らしい母国だし、1つに選ぶことは難しい。

海外に慣れてしまったハーフは、日本で苦労しそう。

コダモン

ボクどうなるの?


外国人気質のコダモンは、そもそも「日本のサラリーマン」としてやっていけるのか?


ドイツ企業と日本企業を比較してみた


最終的にどこで働くにしても、サラリーマンになるのなら「グローバルな企業」で働くと決めていました。

世界中に拠点を持ち、グローバルな人材が必要とされる組織。そして、ドイツ語と日本語のスキルが重宝されるようなところ。

どうせ今の自分には起業のアイデアはないし、ビジネスパートナーもいない。

というわけで、会社員になるために就職活動をしてみる事にした。

日本とドイツで進め方は異なるけれど、まずはエージェントを介して募集案件を紹介してもらうことに。

新卒とはいっても、自分は海外の大学を出て実務経験とかインターンをこなしてきたので、どうやら日本では第二新卒とか中途採用者の枠に入るらしい。

自分の市場価値なんて気にしたこと無かったけれど、書類審査はかなりの高確率で通っている模様。

コダモン

語学は就職に有利〜


ドイツに拠点を置く会社が「現地で是非面接を!」と言っている、という朗報も入ってきた。

海外からの就職/転職活動は、年々スタンダード化しています。スカイプなどで面接を行ってくれる会社も増えていていますが、結局「最終面接は日本で!」となりがちです。


どうやら自分は多くの企業にとって『欲しい人材』らしい。ドイツで頑張って大学を卒業した甲斐があった!

そんなこんなで、候補に残ったのはドイツと日本の企業の
2社。

卒業してからゆっくりと重い腰を上げて、ここまでだいたい1
か月ちょい。

その
2つの企業は、その経営規模も職務内容も全然違う。中身をざっくりまとめるとこんな感じ:

  大手日本企業A
給与: 大手企業の入社3~4年目社員レベル
職務内容(概要): 自社製品の海外/ドイツ拡販・開拓業務
初年度の要求度: 育成ベースでやや低い
サポート体制: 上司の層が厚く、社内外の育成プログラム多数
キャリアパス/昇給: 社内規定による
福利厚生: 大手につき充実
  中堅ドイツ企業B
給与: 一般企業の係長~課長レベル
職務内容(概要): グローバルなイベントマネジメント業務
初年度の要求度: 実務にフル参加でかなり高い
サポート体制: 直属の上司がオフィスマネージャー、基本的にOJT*
キャリアパス/昇給: 1年目から結果次第
福利厚生: 交通費支給のみ

*OJT (On the Job Training = 実務を通したトレーニング)


こうやって比べてみると、日系と外資系企業の違いがハッキリとわかる。

初めての就職活動だったけど、けっこうこだわりを持ってやってみた。その結果、どちらの企業を選んだとしても、目標である「グローバルに働く」という事ができそうだ。

コダモン

良かったぁー


ホッと一安心。

でも、どちらか1社に決めなきゃいかん。

ドイツ企業の方が規模が小さいけれど、その分「キャリアも給料も自分次第」というアドバンテージがある。

提示された年収もけっこう高い。いや、かなり高い。

内定をもらったドイツ企業は、初年度から給料が高くて、自由度も高そう。

でもそれは、裏を返せば「自分しか頼れない」ということ。

そうです。海外企業は実力主義でアウトプットが求められる世界。何かの間違いでコケたら…ヤバい世界です。

最悪の場合、「あれ? 君仕事できないじゃん。クビ!」ってな事もある。

コダモン

不安だなぁ…

それに引き換え、日本企業は「まずは研修などを通してウチの会社を知ってください」と言ってくれる。安心感ハンパない!

コミュニケーション能力(だけ)が高かった当時のコダモンにとっては、日系の大手企業でじっくり製品や仕事について学べることが魅力的に映りました。

転職活動を進めているうちに、気持ちはだんだん『日系企業』に傾いていった。


就職活動をしてみた結果…「日本で就職」!


そうこうしているうちに、ドイツ企業からさらっと内定をゲット。

少し遅れて、日本企業もありがたい事に最終面接へと進むことになり、役員面接のために日本へ一時帰国。

その会社のおエライサンは、「すごくお話が上手」「なんでウチに入社しようと思ったの?」と、コダモンをベタ褒めをしたり、不思議がったり。

そして、こちらも内定をゲット。

コダモン

おっけぃ!


思わずガッツポーズ。

ドイツ企業と日本企業の2つを天秤にかけて、最後まで悩みました。



結論から言うと…。


日本の会社でじっくり学んでみたい。


その気持ちが、日本の会社を選ぶ決め手となりました。

最初から高い給料でバリバリと仕事を通してスキルアップする…そういう選択肢がドイツ企業にはあった。

けれど、やっぱり日本企業が好印象過ぎた。だって「将来の幹部候補」とまで言ってくれたし。

まぁ…リップサービスだろうけど。

それでも、「グローバルに活躍してほしい」「会社の基礎も含めて色々と学んでほしい」そのように期待してくれる日本企業を、断る理由はありませんでした。

働き方ヒント!

日本の会社は終身雇用の名残もあり「長期的な目線」で社員を登用します。それを逆手に取って、『会社』という看板を利用して様々な事にチャレンジして失敗も経験してみる事! ミスをしたってクビにはなりません。会社を使って自分の経験値を増やすのです。


それでも、内心はちょっと複雑。

日本の会社員にまつわるコワい話もたくさん聞いていたからです。


長時間労働、年功序列の上下関係、ほぼ強制の飲み会、パワハラ上司、ブラックな職場…。

 

コダモン

これ大丈夫…?


心配になったけど、「何とかなるだろう!」という根拠のない自信もあった。

これまでたくさん海外勢と渡り合ってきたし。ハーフだし。(?)

そして、とってもナイーブな考え方だけど、もし仮にダメダメな職場だったとしても「自分が変えてやればいい!」そんな自信に満ちた思いもありました。

そういうわけで…。


「月20時間分のみなし残業代含む」…という契約内容に違和感を覚えても。


「定時で帰宅できないこともある」…という面接官のコトバがひっかかっても。


……。

コダモン

なんとかなるなるー


そうお気楽に思って、入社を決めました。


日本企業へ入社するためにドイツから移住


日本の企業に対するネガティブな先入観は捨てて、自分の目でしっかり確かめよう!

そう決意して入社を決めた、日本の会社。

ただ、ここで大きな課題が1つ。

入社が決まった時点ではまだドイツなので、入社日にむけて『移住』をしなければならないのです。

それからというもの、日本への移住の準備で毎日がてんやわんや。役所への転出届けや入社手続き、部屋探しなどなど…。

これから勤める先は、都内の一等地に本社を置く会社なのに…まだ住む場所すら決まっていない。

日本国内でさえ入社準備は大変なのに、ドイツから。しかも、入社まで時間がない!

コダモン

…ヤバくね?


焦るコダモン。

当時は『部屋探し』という単純な作業に、かなり神経を使いました。

なぜなら、勤務地は都内のド真ん中。通勤は満員電車を覚悟しなければなりません。


だけど、満員電車だけはNG!!


電車で出勤するだけで消耗するなんて無理。カンガエラレナイ。かんべんしてください。

というわけで、徒歩通勤ができるエリアで部屋探し。

しかし、物事はそんなにうまくいきません。案の定、家賃が高い。

18㎡で1kのマンションの家賃が…9万円!? 何コレ。高すぎるだろ。

こんな部屋、普通だったら絶対に借りたくない。

けれど、入社日が新卒たちと丸カブりだったので、良い物件はもうほとんどナイ。

コダモン

しまった…


都内の賃貸事情を知らなかったので、完全に出遅れました。

何はともあれ、その他の準備も進めつつ、とうとう入社2週間前に日本に降り立ったコダモン。  

まだ住む部屋も決まっていないのに。

この辺は完全に外国人のノリです。

友人宅に仮住まいさせてもらいながら、不動産屋のお兄さんの協力のもと、ギリギリいっぱいのスケジュールで1日に内見を5〜6件入れてもらう。そして、その日のうちに即決。

コダモン

選んでる時間なーし


人生で初めて日本で部屋探しをしたけれど、部屋の狭さと値段の高さにド肝を抜かれた。都内の中心地だし…仕方ないのか。

当時借りた都内の1Kマンションは、ドイツの大学時代の部屋より小くて値段は3倍。高額な賃料以上に、外国人にとって1番のネックは日本の極狭物件です。


そんなこんなで、なんとか住む場所は決まった。

必要な家具などもそこそこに、とうとう入社日を迎えます。


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